瑞垣は、海音寺を見つめ、やけに優しげな笑みを浮かべた。
「海音寺、人間の崩し方なんてのはな、お空の星の数ほどもあるんやで。例えば」
「例えば?」
ふいに手首を掴まれて、海音寺は顔をしかめた。
痛いほど強い力だった。
「例えばや、こういう風に……」
瑞垣はストローの端を、押さえつけた海音寺の手の上に持っていった。
どろりとしたトマトジュースが手の甲に落ちる。
赤い筋になって流れる。
「……ッ!!!???」
「これが冗談抜きだとして、これがおれの気持ちだとしたら……えらいこっちゃ!」
「瑞垣……///」
−おわり−
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