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〜門瑞考察 : 瑞垣の想いについて〜
一番 難しいこの2人の関係を自分なりに解説してみました。
ただ、書きたいことがありすぎて まとめるのが難しかったので、原作の文を織り交ぜながらの瑞垣口調(視点)で解説します。
※SSみたいになってますが、説明が主体なので脈絡は皆無です!
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ずっと一緒に生きてきたから、ずっと同じことをして同じものを見てきたから、同等の立場でありたいと思っていた。いや、必然的に そうなるはずだと思っていた。
けれども あいつは前へ行く。おれの手の届かないところへと突き進んでいくんだ。あいつの背中が
どんどん小さくなっていく…。
追いつきたい。だけど、どうあがいても追いつけない。同じ人間なのに。同じ男なのに。同じ年齢なのに。
これは きっと運命なのだろう。あいつには許されていて、自分には許されていないものが あるのだろう。考えても無駄なのだ。
それなのに、追いつきたいと思っている自分がいる。そんな自分が嫌で嫌で仕方がない。見ていれば分かるだろ?どうあがいても
あいつに追いつくのは不可能なんだ。それなのに、それなのに…
あいつは これから もっと成長するだろう。だから こんなところに留まっていてほしくない。もっと先へ進め、もっと前へ行け。そうだ、おれたちなんかの相手をしていてはいけない。レベルが違うんだ。
おまえは自分のことだけを考えて、あとのことは何も気にせず置いていけばいい。笑顔で
やすやすと飛び越えていけばいい。そしてその先にある素晴らしい景色を見るんだ。それは、おれには見られないものだから。おまえにしか出来ないことだから。
―――今日も相手校の投手は、おれが打席に立つとクタクタで。結構いい球なげるなって思ってたのに、なんなんだよこの球。
…でも、もう慣れたさ。ピッチャーの気持ちも分からんでもない。それだけあいつはすごい打者なんだ。あいつは、門脇秀吾は…。
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原田巧という男との出会いが すべてを変えた。
原田には、あいつを夢中にさせる力がある。
出会えてよかったなぁ、秀吾。これから おまえはずっと原田のことだけを考えてろ。やっと巡り合えた天才にだけ、のめりこめばいい。
それで、もし1分でも時間が余ったら、そこでやっと おれたちのことを思い出せばいいんだ。…いっそ忘れてくれたって構わないけれど。
飾らないおまえを出せ。周りからの期待を背負ったままじゃ、いつかおまえ潰れるぜ。秀吾らしくいけばいいんだ。そして原田ならきっとそうさせてくれるはずだ。すべてを委ねてしまえばいいんだよ。
―――なぁ秀吾? お前には今、何が見える?
おれには、もう、何も見えない。
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人は変わらないままでは いられないんだ。おまえさえいなければ、消えてくれれば、と何度思ったことだろう。秀吾は少しも悪くない。
だけど、どうしようもないくらい、おれは おまえが嫌いなんだよ。
そして同時に…うらやましいんだ。そんなおまえが、ばかみたいに うらやましくてたまらないんだ。なんて中途半端な自分なんだろう…。おまえを妬み、一方で焦がれているだなんて。
おれは弱くて、怯えていて、脆くて、疎むしかない。けれど、突きつけられたこの現状は、中学生のプライドを傷つけるには十分だろう?
いっそ、秀吾のことを心から祝福できるくらい馬鹿なら良かった。
門脇君って本当にすごいね、同年齢とは思えないよ。おれもそんなふうになりたいな。なんて無邪気に話せたら、こんなに苦しむこともなかっただろう。秀吾も笑ってくれるかもしれない。
けれど秀吾も秀吾で、もっと性悪だったら良かったんだよ。これだけ周りから期待されて、評価されて、ちやほやされているのに、どうして驕らない?門脇ってマジでむかつくよな、自分の才能に酔ってやがる!なんて言えたら、どれだけ楽だっただろう。
…ごめんな。ごめんな、秀吾。かんにんやで。
あやまって許されることではない。許されようとも思わない。許しも同情も理解も、今さら請うたりはしない。
だけど、ごめん。
追いつきたかった。例え無理だと分かっていても、追いつきたかったんだ。それで……お前の隣にいたかった。いつか、おれは
あの門脇君の親友なんですよって胸張って言えたらいいと思ってた。でも今のおれじゃ駄目なんだよ。おまえの隣にいる資格はないんだよ。
だから憎んだ。どうしようもないほど おまえを憎んだ。こんなおれを どうして許すことが出来る?作り笑顔の奥に、こんなにも醜い感情が蠢いていたんだぞ、秀吾。信じられるか?信じられないよな。
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「ずっとおまえの背中を見てきたんや。
ガキのころからや。野球は関係ない」
――信頼と依存の区別も ろくについてなかったんだ。俊ならなんとかしてくれるって、いつも頼ってた。そうやって知らず知らずの間に、きっとおまえを苦しめてたんだろうな。ごめんな、俊…。
驕ることも自惚れることもなかったのは、俊、おまえがいたからなんだ。自分より優れている人物の前で、思い上がることなんて出来ないだろ?今のおれがあるのは、おまえのおかげなんだよ――
…とまどった。これは夢かもしれないとさえ思った。何度反芻しても、秀吾の口から発せられた言葉を信じることが出来なかった。
秀吾が自分を見てくれていたなんて。
おれが秀吾より優れているだのは皮肉にしか聞こえないけれど、そんな つなぎ合わせの言葉で今までの憎しみがチャラになるわけではないけれど、おれは確かに心の闇が晴れていくのを感じた。
―――あやまるのは、おれのほうなんだよ。秀吾。
…もし秀吾がおれを見ていてくれたなら、野球も何も関係なく、本当にずっと「おれ」のことを見ていてくれたなら、おれは秀吾の隣にいたっていいんじゃないか?面倒くさいこと全部捨てて、昔みたいに ただ笑い合っていられる関係に戻ってもいいんじゃないか…?
今はまだ分からない。
けれど、今なら「おれは門脇秀吾の親友で、ずっと同じチームで頑張ってきたんですよ」って言えるかもしれない。…言ってみたい。
おれは“天才野球少年”の親友じゃなくて、“門脇秀吾”の親友なんだ。比べられたって構わない。天才が何だ。才能が何だ。秀吾は秀吾じゃないか。おれは本当に何も見えていなかったんだなぁ……
―――秀吾、いつもそばにいてくれて、ありがとうな。
きっと おまえも同じことを思っているはずだ。
だとしたら、おれたちってもしかして すごいコンビじゃねぇの?
おれはこれからも ずっと、秀吾のことを妬んで、焦がれて、憎んで、
そして愛し続けるだろう。
世界一複雑な関係だ。 けれども、美しい。
昔みたいには上手く笑えないかもしれない。それでも、これからも
友達でいていいかなぁ。
−おわり−
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…というのが私の門瑞考察の概要です。とても長い!
当サイトで扱っているのは「背中見てきた宣言」より前の門瑞です。
もしくは巧に出会う前でも可です。
思うままに打ちこんでいったので至らないところが たくさんあるかもしれませんが、大部分は書き表せました。私が考える門脇さんと瑞垣の関係は一応こんな感じです。
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