言葉にする事だけが全てじゃなく・・・。







ふと、目の前を見ると、見慣れた・・・私の大好きな人の後姿があった。


私は階段を駆け下りながら、大好きな人の名前を呼ぶ。







「紳ちゃんっ!」
「ん?か。どうした?」
「紳ちゃん、そろそろ部活の時間でしょ?こっちって、体育館とは逆方向だけど・・・」


紳ちゃんは、練習着には着替えてはいるものの、明らかにこっちは体育館とは逆方向だ。
すると、紳ちゃんは優しく微笑む。


「今日は体育館が使えなくてな。グラウンドをランニングするだけになったんだ」
「そうなんだ」
「久しぶりに一緒に帰るか?」
「本当っ!?」


そう言うと、紳ちゃんは優しく頭を撫でた。







普段は、練習を覗く事はあっても、一緒に帰る事はないんだよね。
理由は何時に練習が終わるか分からなくて、私の親に心配をかけるから。


本当、紳ちゃんは私の事を考えてくれる。


友達には、『付き合ってるんだったら一緒に帰りたいと思わないの?』って言われるけど、私はいいんだ。
だって、一緒に帰れなくたって、紳ちゃんが私の事をちゃんと考えてくれてるって事が嬉しいんだから。


それに、部活が早く終わる時は、こうして一緒に帰ろうって言ってくれるし。
私はそれだけで満足だもん。







「飯も食って帰ろうな。何食べるか、考えといてくれ」
「うんっ!」







私がそう言って、笑顔で頷くと、紳ちゃんは優しく微笑む。







「ねぇ、紳ちゃん・・・」
「何だ?」
「・・・手、繋いでもいい?ちょっとだけでいいから」







小さくそう言うと、紳ちゃんは小さく頷くと、私の手を優しく握ってくれた。
私は嬉しくて、私の手を握っている紳ちゃんの腕に抱きつく。
すると、紳ちゃんは又、私の頭を優しく撫でてくれた。







練習も終わって、紳ちゃんと一緒にご飯を食べた帰り道。
紳ちゃんと一緒に帰りの電車に乗り込む。


「何か、ご飯食べたら・・・眠くなっちゃった・・・」


私は口を押さえながら、欠伸を噛み殺す。
そんな私の様子を見ると、小さく笑って、座っている私の前に立ってた紳ちゃんが、私の隣に座った。


紳ちゃんはトレーニングにもなるからと言って、電車に乗る時はどんなに空いていたとしても、絶対に座らない。


その紳ちゃんが座るなんて・・・。







「どうしたの、紳ちゃん」
「ん?眠いんだろ?肩を貸してやるから、寝ろ」
「えっ!?」







紳ちゃんはそう言うと、私の肩を優しく抱き寄せる。







顔が火照っていくのが分かる。
逆に・・・寝れないよ・・・。







私はそっと紳ちゃんの顔を見る。
すると・・・紳ちゃんは私の肩に腕を回したままの状態で眠っていた。







・・・部活で疲れてるもんね。







「・・・ダイスキだよ、紳ちゃん」







私は小さくそう言うと、紳ちゃんの肩に頭を預けて・・・そっと目を伏せた。






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誕生日祝いにのDarkStrawberry(閉鎖)の上海さんから頂きました!

そして2人は寝過ごしたそうです!!(笑 )
でも私、牧さんと一緒ならそんなの全然平気だから!^^
「紳一」の紳は「紳士」の紳だったんですね!?
なんてジェントルマンな牧さんなんだろう…ステキすぎる…!
ほのぼのしていて とても可愛いお話でした(*´∀`*)

上海さん、本当にありがとうございました!!


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